2005.04.27

『ICO -霧の城- 』

 宮部みゆき氏による初のノベライズ作品です。ソニー・コンピューターエンターテイメントジャパン制作のプレイステーション2用テレビゲーム『ICO』に触発された宮部氏が、オリジナルの設定を組み込んでいます。

 冒頭に「――いつだかわからない時代の、どこだかわからない場所でのお話。」とあるように、とても色濃いファンタジー作品です。
 何十年かにひとり生まれる、小さな角のはえた子。「ニエ」と呼ばれ、“霧の城”への生け贄である。頭に角のはえた少年イコは、“霧の城”で鋼鉄の檻に囚われた少女とともに“霧の城”から外へ出ることを決意する。

 物語はニエであるイコの生まれ育った村からはじまります。ゲーム中では語られなかった、生け贄としてや旅立つまでの村での生活や風習などが語られ、神官とともにイコは“霧の城”へと旅立ちます。

 ゲームと共通する部分もあるのですが、それ以上にゲームでは語られることのなかった――もしくは語ることができなかった――鋼鉄の檻に囚われていたヨルダに関しては、ICOの世界観により深みをましたように思えます。
 霧の城をかこむ大自然や、オアシスのように存在する中庭の草花、ヨルダをつかまえようとする黒い霧の魔物たち、無機質な城壁や城内にいたるまで色彩豊かなこと。そして“霧の城”の過去、ヨルダとその母がまだ生きていたころの話。イコとヨルダの。そしてニエの真実

 宮部みゆき氏のオリジナルの設定なのか、ゲーム制作時の設定なのかわかりかねますが、それを見事に綴った宮部氏の力量に感服いたします。

『ICO』を制作したチームは、現在『ワンダと巨像』(公式サイト)というタイトルを制作中です。発売は2005年を予定しています。まだ先の話だとわかっていますが、『ワンダと巨像』も宮部みゆき氏によるノベライズ化をのぞむのは、私だけでしょうか。

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2005.04.03

『神狩り2 リッパー』

 山田正紀氏の代表作『神狩り』の続編です。
 本書では島津圭助が解読を試みていた《古代文字》はその姿はあわらさない。
 舞台は1930年代前半から現在、そして未来へとかわり、悪魔とも思える異形の“天使たち”が登場する。
 また島津圭助にかかわりのある人たち――島津のいた研究室から江藤が、惨殺事件を追う刑事の西村が、前作の霊能者、理亜と同じ名前を持つ理亜が――本作のキーとなる“リッパー”に引き寄せられるように収束していく。、

 前作では《古代文字》が神の文字ではないかと推測されていた。今作では《古代文字》は出てこない。しかし、それぞれが追い求めていく研究や事件は、人間では理解不能、または実行不可能な事件など。人間では理解もできず不可能であれば、それは人間ではない“なにか”の仕業ではないか……。
 人間が知覚できない“なにか”を追う。

 正直、1100枚におよぶ長篇ですので、読むのはたいへんでした。ですが、それ以上に読んでいる途中は、先の展開が気になりました。
 日本のSFは、まだまだおもしろい。そう実感しました。

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2005.03.16

神狩り

 山田正紀さんのデビュー作です。続編の『神狩り2 リッパー』が出るので、あらためて読み返してみました。
 天才情報工学者、島津圭助は、ある文様をみせられ、それを直感的に文字だと認識しきし、《古代文字》の調査をはじめる。人間よりも上位の論理にあると思われる《古代文字》は、“神”の言語ではないか――《古代文字》の解読しようとする人々は、島津に《古代文字》の解読、翻訳を依頼し、世界を我がものにしようとする。
 人間よりも論理レベルが上位にある《古代文字》は、人間には理解できず、解読もすすまない。神への挑戦は、あまりにも無謀なのか。

 どこがいい、といったことは、千差万別だと思います。また時代によって評価は変化するでしょう。人に本を勧められるほど読んでいないので、これ以上は書きません。あとは実際に読んでみてください。

 書評はむずかしいです。

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2005.03.10

神狩り2 リッパー

 山田正紀さんの代表作『神狩り』の続編。つい最近、発売を知りました。まさか続編が出るなんて思わなかったので、すごくうれしい。
 小松左京さんの『虚無回廊』の4が出るようなものですよ。これも出ればぜひ読んでみたい……。

『神狩り 2 リッパー』 著者:山田正紀 (amazon)

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