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2005.05.10

札 十六番――意識の次元

 お待ちしてましたよ。今は札を渡せませんが、気にしないでください。君たちが起きたら札を渡すように形城くんにお願いしてありますから。
 君たちは三次元に特化していることは前にもいいましたね。覚えてますか? 覚えていますよね。それでかなりお悩みのようすでしたから。

 君たちにわかりやすく時間の三次元を説明してみせたように、いろいろなものを三次元にしてしまうことができるのです。例えば意識。そう、まさに君たちふたりは、意識の多次元下にいるのです。正確には二次元ですね。もちろん、君たちの意志で来たわけではなく、結果的に形城くんのじゃまをしたので来たわけですが。次からは気をつけたほうがいい。形城くんは、まだまだ君たちがかなうような相手じゃないですから。

 ところで今、意識の二次元にいるのがちゃんとわかりますか?

 いきなりでは、またなにをいっているのかわからないと言われそうですね。順を追って説明します。わかるかどうかは君たち次第です。

 なにせ今回は次元とはまったく関係がないと思い込んでいた“意識”を多次元にしてしまうのですから。多層意識ではなく、意識の多次元です。多層は多重と同じで、意識がいくつかあります。大ざっぱにいえば並行世界のようなものだと思ってください。
 多次元といっても、君たちにわかりやすく説明するために、三次元以上のことは説明しません。安心してください。

 でも今回の意識の多次元はちょっと特殊ですね。残念ながら僕もまだ正確に把握しているわけではないんです。つまり、先ほどから“多次元”と言っているのは、正確に何次元あるのかわかってないからなんですね。

 ゼロ次元(=点)はそのまま君たちが感じている意識と仮定しましょう。これがスタート地点です。ゼロ次元の次の一次元(=線)は、意識の幅とでもいうんでしょうか。無限に近い線の上を行っては戻りを繰り返している。意識の振幅が広いんです。ここまではほかの次元とだいたい同じです。

 二次元(=面)からだんだんわかれてきます。現在の主流となっているのは、面に意識と無意識があるという考え方です。そうなると一次元上でも無意識へといけることに気づきましたか? その通り、一次元でも無意識へと意図的に移行できるのです。
 これと対立しているのが、二次元に無意識はないと唱えている一派です。議論はほとんど平行線ですね。それ以外には、そもそも直交する三つの軸があるという三次元で、意識をあらわそうというのがそもそも無理と唱える人たちもいます。
 三者三様。確かめることができないので、すべてが正しいということもありえますね。ちなみに僕は、面に意識と無意識がある主流派の考えを支持しています。

 最後に三次元(=立方体)ですが、これはもう主流派もなにもないです。どれもが当たっているようで、どれもが的はずれかもしれない。すべてに共通するのは、意識も無意志もあるという点だけ。あとはまあいろいろ。第三者の意識に介在可能だとか、いや、第三者の意識を知ることしかできないだとか。
 ここでいう第三者は、自分以外のすべてですね。生物はもちろんのこと人工物などの無生物、果ては概念の存在である神なども含まれる。ことばは悪いかもしれないけれど、なんでもありの世界になってますね。

 わからないですか? ええ、それでいいんです。ゆっくりと考えればいいんですよ。まあ、そんなことですから、次元は空間と時間だけではないということを覚えておいてください。

 須淡くん、土院くん。そろそろ起きますか? いや、起きたほうがいいでしょう。

 もう身にしみてわかったと思いますが、形城くんが研究に没頭しているときは近づかないほうがいいですよ。同じことを繰り返すと、だんだんエスカレートしますからね。気をつけてください。

 次は君たちの三次元で会うことになるでしょう。ではまた。

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